恋の物語。(7)

「恋の物語」、続きです。

「ねぇ、今どこで何してる？」
携帯電話を持つようになってからは
たいした用も無いのにそう言って
年中電話をかけて来る。
それが束縛じゃなくて
本当の愛情だったことに気づくまで
こんなに時間がかかってしまった。
冷たくしてごめん・・・。

今度は私が聞く番だね。
「ねぇ、今どこで何してる？」

夢の中に出てきた彼女は
楽しそうに笑って
そうして僕にキスをした。

目が覚めてからもずっと
知るはずのない彼女の唇の感触を
はっきりと覚えていた。

こんなにも愛している僕の想いに
応えることが出来ない彼女からの
ささやかなプレゼントだったのかも知れない・・。